屋外プールの巡回業務には、熱中症防止のためにプールサイドのコンクリート床・人工芝シートに適宜水撒きすることも含まれていました。私はそれをいいことに、ほんのついでというていで横たわっている男性に声を掛けたのでした ー こんにちは、良かったらお水お掛けしましょうか、みたいに。目を開けた男性は少し面食らったような様子だったので、私が、お暑いでしょうから、とかなんとか付け加えると腑に落ちたらしく、「じゃあ、お願いします」と立ち上がって言ってくれました。



実際に「その業務」で、そんなふうに寝転んでいるお客さんにお声掛けしてまでシャワー掛けするものなのかどうかは迷うところでしたが、遠巻きにその周囲だけを人を避けるように水撒きするよりは自然で礼儀にもかなう、とは思ったのです。でも、いざ実際にやってみると、ほんの1mほど前に立った半裸の男性にシャワーを掛けるというのは何だか恋人同士じみた絵図に思えて、思った以上にドキドキしてしまいました。



ありがとう、ご遠慮なくいつでも、みたいに挨拶を交わした後、アリバイよろしく私はその周囲の人工芝エリアにも水を撒いて回っておきました。そのエリア以外にはそもそも他のお客さんもいなかったため、それでアリバイには十分なのでした。ホースとシャワー・ヘッドを規定の場所に戻すと、私はまたプールの他の3辺を足早に回り、そして再び目を閉じて横たわっている男性の傍をゆっくり通りすがりました。



まだ先ほどのシャワーの水滴が光る肌、そして私の密かなイタズラ作戦の成果 ー 濡れた競泳用ビキニにますます陰影がはっきりして浮かび上がる彼のペニスのシルエット。同僚のみんながキャピキャピこそこそとお喋りしているのを耳にしてはいたものの、普段の室内業務ではじっくり鑑賞する機会のなかったその映像は、非スイマーでヴァージンであった私にはどんなAVよりも刺激的なものでした。少しだけ、ほんの気持ちばかり少しだけ、横向きに押し込められた、それでもやっぱり人並み外れて目立つ彼のペニスが、さっきの私のハイ・レッグ姿に反応して、少しだけ大きくなっちゃってる気がする ー 自分からの積極的な「仕掛け」とそれに対しての男性側からの反応。同僚のみんなが、そしてお客さんでもスイマーなら、あたりまえに楽しんでいるであろうそうしたエロティックなゲームを初めて経験してみて、私にもそのゾクゾクするようなダイナミクスが分かった気がしました。



でも間もなく、そうした私の心中での「ステップ」は、自分流のゆっくりペースで登っていくわけにはいかなくなりました。それからほんの10日ほどしか経ってないある日、同シフトで入っていた前述の先輩Eさんが、何だか人懐っこくもいたずらっぽい表情と声音で「衝撃のニュース」をもたらしてきたのでした。



「あ、そういえばJちゃん、もう知ってるかな?Mさんのこと ー 」名前を聞くのが私には初めてだったあの男性:Mさんは、当然Eさんその他の同僚の「お気に入り」「ターゲット」になっていて、はしゃぎおふざけ半分にぼやかして喋るEさんの言葉の端々からも、疾っくにEさん他1、2名がMさんを試食済みなのが知れました。それだけなら、「私の愛しのMさん」が私だけの密かな想い人ではなかったというだけのショックで済むところでしたが、EさんによればそのMさんは、とある家業の事情で実家に一時帰ってきていたに過ぎず、それが結着した現時点ではもう1週間そこら中に東京へ帰っていく予定だとの二重の喪失ショックが待ち構えていたのでした。



「それでね、Jちゃん ー」おそらくは目に見えて意気消沈してたであろう私に、Eさんは仰天のプランを聞かせてくれたのでした。ごく限られた内輪での、Mさんの「送別会」。閉館後のプール用具倉庫で、夜遅くに、施錠責任者が「身内」にいることをいいことに。話の雰囲気的に、明らかに性的な、危険な香りのするパーティーが仄めかされていたのですが、同時に当のEさん含め同僚の誰かが私に同情してくれている、そして「仲間」に迎え入れてくれようとしているというのが窺われ、なおかつ私自身がもう、Mさんとこのまま何事もなく袖すり合っただけの無関係に終わるのが切なく寂しくもどかしくなっていたため、おそるおそるながら話に乗ってみることにしてしまうのでした。
(「4」に続く)





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