ホテルに入り、豪勢ではないが瀟洒な、落ち着いた館内とツイン・ルームを見る内、私にも自然とその独特の隠れ家性、狩り場性が納得できる気がした。ここでは、お行儀よくしれっと澄ました顔の大人の男女が、がっつくことなく一期一会の精神でお互いのエロスを交換するのだろう。レストランでは、Cが知り合いから譲られたというアスレティック・フリー・パスに含まれる簡素だが健康的な夕食メニューを共に楽しみつつ、さりげなく周りの男女を観察できた。自分たちみたいな大学生の年代の客はほとんど見かけない。訳ありな感じの、中年男性と女子大生みたいなカップルはいなくもなかったが。あれは今日、ここのホテルで知り合っての2人連れなんだろうか。どっちがどっちを釣ったのであれ、あれよりはもうちょっとマシな男が見つかればいいなと思いつつ、18時にはそこを出た。



食後でお腹がぽっこりのままじゃ恥ずかしいから、というCの言葉から、私たちはしばらく館内を見て回って暇をつぶし、一旦部屋に戻って身支度して、21時近くにプールに入場した。プールの終業は23時。いい男いい女は遅い時間にこそ現れるもの、と訳知り顔のCの言に拠ったのだ。しーんと静まりかえり水音だけが妙に響くプールには、私たち以外に4、5人の男女の姿しかなく ー そして泳ぐ姿が遠目にも目立つ彼がいた。



ゆったりとした美しいフォームで何往復もクロールを続ける彼の姿は、おそらくはCが念頭に置いていたスイマー出身の大人のセックス・エリートのそれだったのだろう。入水する前に私たちは、「持ち席」のデッキ・チェアを探すていでゆっくりプール・サイドを歩きつつ、横目で彼の泳ぐ姿を見守った。典型的に「逆三角形」と称されるようなたくましい上体はもちろん、水泳部やスクールの経験のない私に強い印象を与えたのは、その小さい競泳用ビキニだ。泳ぎのローリングにつれて波立った水面から右、左、右とお尻の山が顔を出す ー それを辛うじて貼りつくように包んだ明るいブルーのビキニは遠目にも目立って小さく、あんなに小さいビキニの中にどうやって成人のペニスが収まるのだろうと私は心中で高まった。



私たち2人も申し訳程度に、また自分たちの体型とハイ・レッグの競泳水着姿をアピールするためにも、彼の隣のレーンでゆったりと数往復してみせた。「その道」に詳しいCによれば、スイマー同士のセックスへのアプローチというのは、そんなふうにさりげなく、かつ効果的に為されるとのことだった。しばらくそうしていると彼はプールから上がり、今度は反対に、プール・サイドのデッキ・チェアに浅く座り、脚のストレッチを行いがてら私たちのほうを遠目に眺めているふうだった。コース・エンドでCと並んで立ち、理由もないのにゴーグルを外して何気ない素振りで彼のほうを見やれば、9、10mほど離れてながら、彼が私たちのことを ー ゴーグルを外した顔含めて私たちのことをさりげなく品定めしているのは感じ取れたし、初めての経験でありながら私には、彼がもうその気で、Cもその気で、自分もその気であるのが「オーラの交歓」のような不思議な直覚のうちに読み取れた。



彼の席の最寄りのステンレスのラダーからゆっくりと体を見せつけるように水から上がると、彼はもはやさりげないふうを装うのをやめて、近づいてくる私たちのことを賞賛するような熱い視線で迎えてくれるのだった。どういう初動を取ればいいのかさっぱりな私だったが、おそらくCは慣れたものだったのだろう ー なんてことない普通のスポーツマン同士のような口ぶりで「もう、お上がりですか?」と声を掛けただけだった。「う〜ん... 君たちが上がるんだったら一緒に上がろうかな、と思ってたところ」と彼は軽い笑みを浮かべて答え、もうそれで交渉は十分、ということのようだった。既に過去に慣れっこであったであろうCにとってはどうか分からないが、私は、座った姿勢から立ち上がって面と向かうまでの彼の、競泳用ビキニに真横向きで押し込まれてはち切れそうに見えるペニスにどうしても目をやらずにはいられない自分に驚きと開放感から来る奇妙な歓びを感じていた。
(「3」に続く)





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